教育

特異な才能のある児童生徒への支援 有識者会議の提言

2022年9月27日の日本経済新聞で「『ギフテッド』支援、23年度本格化 才能の見極め手探り」という見出しで、特異な才能を持ち学校生活に悩みを抱える児童生徒らへの支援策が2023年度から本格化することが報道され、この点について文部科学省の有識者会議が9月26日に学校現場での対応を求める提言「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ」(有識者会議の提言)を公表したことが報道されています。これに関連して、2022年10月20日において「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援」の記事を書いています。前回の記事の続編として、有識者会議の提言内容を紹介しておくことにします。

まず、有識者会議の提言の基本は、特異な才能を持ち、同年齢の子どもより明らかに達成度を示すために通常の学級では不都合な状況にある子どもへの特別な指導・支援について検討することです。そして、有識者会議の提言では、今後の具体的施策に向けて

  • 特異な才能のある児童生徒の児理解のための周知・研修の促進
  • 多様な学習の場の充実等
  • 特性等を把握する際のサポート
  • 学校外の機関等へのアクセスできるようにするための情報集約・提供
  • 実証研究を通じた実践事例の蓄積

が提言されています。

今後の具体的施策のために、現時点では実証研究を通じた実践事例の蓄積が極めて重要なことであると思います。特異な才能のある児童生徒の困難を解消し、才能を伸長することは、その児童生徒のために重要であり、また、一人一人の才能や個性が尊重され、多様性を重視する社会を形成する観点からも意義深いものです。

しかし、これまで特異な才能のある児童生徒を念頭に置いた指導・支援の取組はほとんどなく、教育委員会や学校に対して直ちに取組の充実を求めることには戸惑いや弊害が生じる可能性があるものです。そこで、実証実験を通じた実践事例の蓄積は極めて重要なことであり、また、実践事例について可能な限り類型化・体系化を図った上で、共有していくことが必要になります。

今まで、日本において、特異な才能をどのように定義し、見いだし、その能力を伸長させていくのかという議論が十分に行われてきていなかったことから、今回の有識者会議の提言が、現在の日本の教育の見直しとなることを期待したいと思います。この提言の内容が具体的に江戸川区の小学校・中学校の教育現場に導入されることはかなり先のことと思いますが、有識者会議の提言の内容を紹介しました。(筆者金井たかし(高志)のプロフィール

「金井たかし 江戸川区の政策研究(金井たかし公式HP)」

弁護士 金井たかし(金井高志)

(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)

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