教育

小学校・中学校での読解力向上の施策

2022年8月5日付「読売新聞」で「ヨムYOMUワークシート 記事に設問 読解力向上 墨田、全小中校に導入」という見出しで記事が掲載されていました。他のブログ記事でも書きましたが、文章の読解力はすべての教科の基礎となるものと思います。今回はこの記事について紹介し、小学生・中学生の読解力に関する江戸川区の施策についても紹介したいと思います。

小学校・中学校での読解力向上の施策

この記事では「子どもたちの読解力の低下が問題視されるなか、墨田区が、小中学生の読解力向上の取り組みに乗り出した。改定された区教育施策大綱(2022〜2025年度)に、読解力向上の推進を明記。読売新聞が記事を基に作成した教材『よむYOMUワークシート』を全区立小中学校に導入し、6月から活用している。」と解説がなされています。

小学生や中学生の読解力の低下を踏まえ、墨田区では区内の全ての小中学校で読売新聞の記事を基にした教材を使用し、読解力の向上を図ることをしているものです。

小学生や中学生の読解力の低下が問題視され始めたのは2000年代です。経済協力開発機構(OECD)による国際学習到達度調査(PISA)の2003年調査結果が公表され、「読解力」が2000年の8位から14位に急落し、さらに2006年調査では過去最低の15位と低迷したことがきっかけです。これは、「PISAショック」と呼ばれ、共育関係者の間では問題とされました。2018年の調査でも15位という結果となっています。

このようなことを背景に、国は、2020年から2021年度に全面実施された新学習指導要領に新聞を教材として活用するよう盛り込むことなどにより、読解力の向上を目指す施策を考えています。このようななかで、墨田区は小学生や中学生の読解力の向上のためにヨムYOMUワークシートを用いる方法を取り始めたわけです。そして、墨田区は、各校の取組み事例を把握し、好事例を区立小中学校で共有することを考えているということです。

また、この読売新聞の記事では、江戸川区においては江戸川区立船堀第二小学校で、小学生の読解力の向上のためにヨムYOMUワークシートを用いる方法を取り始めていることが報道されています。

小学生・中学生の読解力向上という課題について、江戸川区では、児童・生徒が本に親しみ、読解力の向上を図るため、2012年から国の教育課程特例校の指定を受けて全区立小中学校で「読書科」を導入しています。この結果として、子どもたちの読書に親しむ機会が増えたことで、全国学力・学習状況調査では「読書好き」と回答する割合が増加するなどの効果が表れています。このことについては、江戸川区公式サイトの中の「2018年(平成30年)3月20日 『読書科』新指導指針作成」のページ で説明がなされています。

江戸川区では「読書科」の導入で読解力の向上のための施策がすでにとられているのですが、その施策のより充実のために墨田区や他の区での小学生や中学生の読解力向上の好事例・成功事例を学ぶことは必要かもしれません。江戸川区として小学生や中学生の読解力の向上のためさらなる施策をいろいろと考えてもらいたいものです。(筆者金井たかしのプロフィール

自治体スクールコンプライアンス研究所 (東京都江戸川区)

代表 弁護士 金井高志(金井たかし)

(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)

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