教育

デジタル教科書と紙の教科書の比較

2022年7月21日付「読売新聞」で「デジタル教科書『紙』と同等以上?」「文科省学力検証『読む』分野は『紙』優位」という見出しの記事がありました。私は、児童・生徒の学力向上の一番基礎となることが読解力であると考え、江戸川区の児童・生徒において国際学習到達度PISAの「新PISA読解力」の向上を考えることが必要であると考えています。そこで、今回、この新聞記事を基に考えたことを書いておきます。

デジタル教科書と紙の教科書の比較

この記事では「文部科学省は6月、デジタル教科書が学力に与える影響の検証結果を公表した。報告書では、学力の伸びが『紙と同等以上の効果がある』としたが、明確な根拠は示されていない。一方で、『読む』分野では、デジタルより紙の教科書が『優位』との結果が出た。」という解説がなされています。私自身が大学の教員として多くの文献などを読む仕事をしていますが、紙媒体の資料とデジタル媒体の資料を読んだ場合、紙媒体の資料を読むほうが理解が進むことを実感しています。

児童・生徒や大人が、文章を紙で読むか、デジタルで読むか、この選択は悩ましい問題です。この点については、2021年9月25日付「読売新聞」で「紙で読む良さがある」という見出しの解説記事がありました。ここでは、『ペーパーレス時代の紙の価値を知る』(柴田博仁=大村賢悟共著)の著者である柴田教授へのインタビュー内容が紹介されています。

柴田教授のコメントとして「目で情報を取るだけなら、紙でもデジタルでも、読むスピードや理解度はあまり変わりません。でも、読書の途中で著者情報を見たり、参考文献を見たりといったページを行き来する操作は、紙が抜群にしやすく、読みを阻害しない。デジタルは、ページをめくるなどの際、思考にプチプチ中断が入ってきます」と紹介されています。

そして、「◆柴田教授おすすめ 紙とデジタルの使い分け」として、3点が紹介されています。

・目だけ使うなら電子、手も使うなら紙

・情報をただ受け取るなら電子、つかみ取りにいくなら紙

・並行して複数の作業をするなら電子、集中したいなら紙

文章を読むといっても、新聞のニュースなどにざっと目を通す場合、また、じっくりと理解しながら読む場合など、いくつかの場合に分けることができますので、それらにあわせて、紙媒体かデジタル媒体かを使い分けさせることが大切なのであると思います。江戸川区の児童・生徒の学力水準向上、また、読解力向上のために、この使い分けの問題を今後いろいろと考えていくことが必要であると思っています。(筆者金井たかしのプロフィール

自治体スクールコンプライアンス研究所 (東京都江戸川区)

代表 弁護士 金井高志(金井たかし)

(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)

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