教育

児童生徒の学力水準向上のための塾に関する施策

小学校・中学校では夏休み後の新学期が始まり、また9月中旬になり朝晩は涼しくなってきました。朝、私の住んでいる近くの小学校の児童のみなさんが元気に登校する姿を見かけると、いつも「よく学びよく遊べ」という諺を思い出します。遊びも勉強もとても大切なのですが、江戸川区の小中学校の学力水準は東京23区の中でかなり低い位置にあることがデータ上示されています。このような状況で、他の地方自治体で実施されている子ども達の学力を上げるための施策として、メディアなどで知ることができた中学生を対象とする塾に関する施策がありましたので、今回、それを紹介しておきます。

児童生徒の学力水準向上のための塾に関する施策

まず、大阪府大阪市の「塾代助成事業」(2022年9月2日)がありますので、紹介します。この「塾代助成事業」とは、「子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、こどもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供するため、一定の所得要件を設け、市内在住中学生の約5割を対象として学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室など(オンライン学習塾などを含みます)の学校外教育にかかる費用を月額1万円を上限に助成する事業」です。この制度は、一定の所得要件の下で、市内在住中学生の約5割を対象する制度で、多くの中学生が対象とされているものになります。

他に、江戸川区と同じ東京都東部地域での足立区での施策・制度がありますので、紹介をしておきます。「足立はばたき塾」(公開日:2020年2月14日更新日:2022年5月10日)という制度が作られています。この「足立はばたき塾」は、成績上位で学習意欲も高いが、家庭の事情などにより塾等の学習機会の少ない生徒を中心として、民間教育事業者を活用した指導力の高い講師による学習機会を提供するものです。この制度は「中学3年生で、家庭の事情などにより塾等の学習機会が少ないが、成績上位で学習意欲が高く、将来の夢の実現に向けて難関高校等への進学を目指す生徒」が対象となっていますので、大阪市の制度の「塾代助成事業」とは異なり、かなり限定された生徒を対象としているものになります。

公立小学校や中学校では全ての児童生徒に対して教育の機会均等を徹底することが理念の一つであり、また、一人一人の能力・適性、興味・関心等に応じた教育であることも求められると考えられます。公教育である以上、その地方自治体の学校全体の教育環境、教育レベルなどを上げることがまず望まれるのですが、その上で、家庭の事情などにより塾等での学習機会の少ない生徒に対する教育支援をすることも大切なことと思います。江戸川区で家庭の事情などにより塾等での学習機会の少ない生徒に対する塾代の助成などの施策はまだ検討されていない状況かと思いますが、このような施策も検討の対象とされることがよいと思っています。(筆者金井たかし(高志)のプロフィール

自治体スクールコンプライアンス研究所 (東京都江戸川区)  

弁護士 金井高志(金井たかし)

(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)

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